人の身体や心は日々、変容を繰り返しています。望ましい変化を促し、望まない変化を自在にコントロールできるならば、私達はより自由に生きられるのではないでしょうか。Human Transformation Science(HxS)研究ユニット(*) では人間変容に関する社会展開可能な知の体系を築くことを目指し、特に、MRIをはじめとする脳・生体計測を全学ならびに関係研究機関と連携して強力に推進すべく、取組を開始しました。

第1回HxS研究セミナーでは、フランスを拠点とする認知神経科学研究者の中井智也氏をお招きして、こどもの学習と脳の発達についての研究成果をご紹介いただきます。中井氏は当ユニットの学外メンバーの一人でもあります。貴重なお話を伺える機会ですので、皆様お誘いあわせのうえ、ふるってご参加ください!

【日時】 2025年11月27日(木) 14:00-16:00
【対象】 どなたでも
【会場】 電気通信大学 東3号館マルチメディアホール306 & Zoom
【参加申込】
https://uec-tokyo.zoom.us/meeting/register/cmMV4gbwRTWPgLdGfwFPNQ

【講師】 中井智也 氏(株式会社アラヤ 研究開発部 チーフリサーチャー)

<Profile>
2023年6月 - 現職
2021年4月 - 2024年5月フランス国立衛生医学研究所, リヨン神経科学研究センター, 博士研究員
2017年4月 - 2021年3月国立研究開発法人 情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター, 脳情報通信融合研究室
2016年4月 - 2017年3月国立障害者リハビリテーションセンター研究所, 脳機能系障害研究部, 流動研究員
2017年3月 東京大学大学院, 総合分科研究科, 広域科学専攻・生命環境科学系

<Research Interests>
数学の認知神経科学を中心に、脳機能イメージング・機械学習・発達心理を組み合わせた研究をしています。
(1)言語と数学の脳における関連性
(2)数認知に関する脳機能の発達および学習の効果
(3)脳データと機械学習による高次認知機能のデコーディング
(4)高次認知機能に関するニューラルネットワークモデルと脳活動との関連

【要旨】
 発達や学習にともなう脳機能の変化を解明するためには、児童を対象としたイメージング研究が不可欠である。しかし、高い脱落率や体動ノイズの影響により、課題遂行型の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)データを低年齢児童から取得することは極めて困難であり、世界的にも依然として希少である。本講演では、主に5〜8歳児を対象とした数学能力に関する課題fMRI実験に基づく、最近の研究成果を紹介する。デコーディングや多ボクセルパターン解析を用いることで、異なる年齢グループ間における脳活動パターンの変化や、親子間における類似性を明らかにした。本講演ではさらに、発達fMRIデータと計算モデルを組み合わせる計算論的発達認知神経科学の枠組みを提示し、将来的な課題や発展の可能性について議論する。

【主催・問い合わせ先】
UEC-SHIPプロジェクト HxS研究ユニット
代表:宮脇陽一(電気通信大学・機械知能システム学専攻・教授)
hxs-group(at)gl.cc.uec.ac.jp  ※(at)を@に置き換えてください

*Human Transformation Science(HxS; 略称ヘックス)研究ユニットは、UEC戦略的拠点育成プログラム(UEC-SHIP)の支援を受けて新しく立ち上がった研究プロジェクトです。UEC-SHIPは、本学の強みと特色を活かして、新たな学際的研究の創出、次世代を担う研究リーダーの育成を行う取組みを推進するもので、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の一環として実施されています。